第10章 【アンブリッジ】
組み分け帽子の歌が終わると、早速例年通り組み分けが行われた。マクゴナガル先生はABCのリスト順に生徒の名前を呼び、緊張に震える新入生の頭にぼろぼろの組み分け帽子を被せた。
最初に名前を呼ばれたユアン・アバクロンビーという男の子が、グリフィンドールに選ばれた。ユアンは割れるような拍手とともにグリフィンドール席に歓迎された。
それから順々に新入生の組み分けが進み、最後にローズ・ゼラーという女の子がハッフルパフに選ばれると、今年も特に問題なく新入生全員の組み分けが終わった。
既にクリスの向かいに座るロンのお腹から、空腹のサインである腹の虫がグーグー音を立てて鳴っている。クリスは顔が映るくらいピカピカな金の大皿を見つめた。
あとはダンブルドアの演説が終われば、美味しいご馳走が待っている。クリスも特に食欲旺盛、と言うほどではないが、今日この時ばかりは別だ。2か月ぶりのホグワーツの味が楽しみで仕方ない。
マクゴナガル先生が組み分け帽子を片付けると、ダンブルドアが立ち上がった。
「新入生諸君、そして在校生諸君、ようこそホグワーツへ。儂からの挨拶はただ一言、ひたすらにかっ込め!!」
ダンブルドアの一言を合図に、目の前の大皿に溢れんばかりのご馳走が現れた。
目の前のロンは言葉通りフライドチキンとポテトフライを山のようにお皿に盛ると、頬袋でも備えているかのように無心に口に詰め込んだ。この食べっぷり、最早見事としか言いようがない。
半面、一応これでもお嬢様育ちのクリスは、優雅にローストビーフを切り分け、ミートパイを少々皿に盛ると、まずは一切れ口に運んで久しぶりのホグワーツの味を吟味した。
夏休み中はあまり食欲がなく、食も細っていたせいで、あまり量を食べる気にはならなかったが、それでも美味しいと実感できるのは嬉しいことだ。
それからシチューをよそい、デザートを平らげる頃には、もう殆んどの生徒は食事を終えおしゃべりに夢中になっていた。
ガヤガヤと話し声が充満する大広間の上座で、再びダンブルドアが立ち上がると皆一斉にお喋りを止めた。