第7章 【監督生】
夏休みも終わりに近づいてきた頃、ホグワーツから新学期に向けての手紙が届いた。中を開くと、新しい教科書のリストが入っていた。
今年新しく買う教科書はたった2種類だけ。ミランダ・ゴズホーク著『基本呪文集・5年生用』とウィルバート・スリンクハード著『防衛術の理論』の2冊だ。
クリスがリストに目を通していると、誰かが部屋の扉を勢いよく開けた。
「クリス!ホグワーツから手紙が届いたわよね!?信じられる?私、監督生に選ばれたわ!!」
入って来たのはハーマイオニーだった。すっかり忘れていたが、5年生から、各寮男女2名ずつ監督生が選ばれるのだ。当然グリフィンドールからはハーマイオニーだろう。彼女ほど優秀な生徒は他に居ない。
「おめでとう、ハーマイオニー」
「ありがとう!ねえ、ハリー達の部屋に行ってみない?きっと2人にも手紙が届いているはずよ!」
興奮冷めやらぬハーマイオニーは、半ば強引にクリスを引っ張ってハリーとロンの部屋へ向かった。そして勢いよく扉を開けると、監督生バッジを手にしたハリーを見て、ハーマイオニーが歓喜の声を上げた。
「やっぱり彼方だったのね!私もよ、ハリー!!私も監督生に選ばれたの!!」
「ち、違うよ。僕じゃない、ロンだよ」
「え?――だ、誰?」
「ロンだよ、ロンが監督生に選ばれたんだ」
「え、う……嘘、だって、え?ロンが?」
ハリーの言葉が信じられない様に、ハーマイオニーは口をぽかんと開けて固まった。フレッドとジョージは、鳩が豆鉄砲を食ったようなハーマイオニーの顔を見て、声を押し殺し笑っている。ロンは顔を真っ赤にして手紙をハーマイオニーの目の前に突き付けた。
「信じられないなら見てみれば良い!ほら、証拠だよ!手紙に書いてあるのはハリーの名前じゃない、僕のだ!!」
「えっ!あ、ああ、そうね。本当だわ……私、私……おっ、おめでとうロン!とても――」
「――予想外だった」
ジョージが腕を組んでうんうんと頷きながら言葉を続けた。ハーマイオニーは何とか取り繕うと必死に言葉を選んでいたが、それが余計にロンの不興を買っていた。