• テキストサイズ

ハリー・ポッターと沈黙の天使

第6章 【寂しがりや】


「でも、僕達がホグワーツに戻ったら、またシリウスは独りぼっちになっちゃうし……」

 徐々に尻すぼみになるハリーの言葉を喰う様に、ハーマイオニーは語気を強めた。

「あのねえ、私達は学生で、学校に通う義務があるの。それに騎士団のメンバーが出入りしているからシリウスは別に独りぼっちじゃないわ。それを何を勘違いしたのか、彼方がこのままこの屋敷に住んでくれれば良いって高望みしたのよ」
「分かってないなあハーマイオニー。シリウスは他の騎士団と違って、四六時中この陰気臭い屋敷に閉じ込められっぱなしなんだぜ?そりゃあチョットは夢くらい見たくなるさ」

 堪りかねたロンが口をはさんだ。確かに自分の意思とは反対にこんな屋敷に閉じ込められていたら、陰鬱にもなるし、ちょっとの夢くらい持ちたくなる。
 しかし、ハーマイオニーは同情の余地なしとさらに言葉を続けた。

「シリウスはね、長いことアズカバンに居た所為で正常な判断が出来なくなってるのよ。ロンのお母さんの言う通り、彼方がハリーなのか、それとも彼方がハリーのお父さんなのか混乱している節があるわ」
「それじゃあ、君はシリウスがイカレテるって言うの!?」
「そこまでは言わないけど、寂しがっている事は確かね。それも極度に」

 確かにハーマイオニーの言う通りだった。寂しいからか、シリウスは夜になると度々クリスの部屋を訪れては同じベッドで寝るようになった。
 前まではクリス からシリウスの部屋に行く事が多かったが、最近では逆だ。今までなあなあで過ごしてきたが、これはよく考えれば大きな問題だ。
 しかし大の大人が、夜な夜な15歳の少女の部屋に訪れて一緒に眠っているなんて、相談どころか口が裂けても皆には言えない。

 クリスはシリウスの事を想い、人知れずため息を吐くのだった。
/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp