第6章 【寂しがりや】
確かに家の様子を見るだけでも、シリウスの家が純血主義だと言う事が分かる。きっとシリウスは子供の時から両親に虐げられて育ったんだろう。だからきっと、余計に純血主義を忌み嫌っているんだ。
同じく純血主義の家に育てられ、それに反発してきたクリスは、少しだがシリウスの孤独が理解できた。
「弟さんは……その……闇祓いに殺されたの?」
「いや、ヴォルデモートに殺された。と、言うよりヴォルデモートの命令で殺された、と言う方が適当だな。弟は、ヴォルデモートが直接手を下すほどの人物じゃなかった。これは後で分かった事だが、弟は深入りしてから自分のやっている事に恐れをなして、逃げ出そうとしたらしい。だが1度ヴォルデモート組したら死ぬまで仕えるしかない……本当に馬鹿な奴だ」
一瞬、シリウスが淋しそうな目をした……その時、タイミングを見計らったようにウィーズリーおばさんが大量のサンドウィッチとバタービールのビンを持って入って来た。子供達はみんなお腹が減っていたのか、わっとそれに群がった。
しかしハリーとクリスは家系図のある名前に気を取られて、おばさんの事など目に入らなかった。
下の方に金の糸で施されたナルシッサと言う名前と、それを繋ぐルシウス・マルフォイと言う名前、そしてその下にドラコという名前を発見したのだ。
「ドラコって……私達の知っているあのドラコか!?」
「シリウス!何で教えてくれなかったの!?」
「今更説明する事でも無いと思ったからだ。純血は限られている。その中で婚姻するとなると相手はまず選べないから、自然と純血はみんな姻戚関係となる」
もしドラコとの婚約が進んでいたら、クリスはシリウスと親戚になっていた。そう思うとなんだかクリスは胃がねじれる様な気分がした。
「またここに戻って来る事になるとはな……運命とは因果なものだ」
シリウスが瞳を閉じてため息を吐いた――。此処は本部としては理想的ではあった。何しろマグル避けは勿論、数多くの隠ぺい術がかけてあり、まず追手がつく心配はない。
それにダンブルドアが秘密の守人になっている限り、ヴォルデモートでさえこの屋敷を発見する事は不可能だ。
しかしシリウスにとって此処は忌むべき場所であり、思い出したくない過去の遺物だ。それはシリウスの目を見れば分かる。