第35章 【進路相談】
「ですが決して諦めることはありません、貴女の魔力が回復さえすれば、必ず道は開けます!」
「本当ですか?」
「えへん!えへん!」
「ええ、ええ!召喚術の研究を主に行っている機関はありませんが、他にも役立つ研究機関は沢山あります!」
「えへんっ!うえっへん!!」
アンブリッジの咳は、もはや咳ではなく叫び声に変わっていた。
聞き間違いなどではなく、マクゴナガル先生はハッキリと舌打ちをしてアンブリッジの方を振り返った。
「ドローレス、何かおっしゃりたい事があるようですね!?」
「ひとこと言わせてもらえれば、研究にはそれなりの実績が必要なんですのよ?それを召喚の杖も持たない、魔力もない小娘にどうしろと?」
「この子の魔力は一時的に失われているだけです!!何度言えばお分かりになるのですか!?召喚の杖だって今に取り戻して見せます!!そのために――」
「ほーほっほっほ!そのために?そ・の・た・め・に・何をしていらっしゃるのかしら?まさか地下組織でも作って、杖の奪還でも狙ってらっしゃるの?」
鬼の首を取ったように高笑いをするアンブリッジに、マクゴナガル先生は体中を震えさせて必死に罵詈雑言をぶちまけたいのを我慢しているように見えた。
これ以上の面談は無理だと悟ったクリスは、そっとマクゴナガル先生の執務室を後にした。
それにしても――
「召喚の杖、か……」
あれだけは、なんとしてもヴォルデモートの魔の手から取り戻さねば。そしてあるべき場所に変えそう。
そう――妖精の国、ティル・ナ・ノーグに。