第33章 【占い学の先生】
チャイムが鳴ると同時に、みんなここが教室内だという錯覚から目が覚めた。
それほどこの教室がよく作られていたし、やっていた事と言えば星を見て薬草を燃やすとう、なんとも不思議な授業の所為だったからかもしれない。
みんな錯覚がさめやらぬまま教室を出ようとすると、フィレンツェが後ろからハリーとクリスを呼び止めた。
2人が呼び止められてあまり良い事がなかったので、ついつい身構えてしまった。
「……なんでしょう?」
「2人にお話しがあります。まずは、そう……ハグリッドの話しからしましょうか」
「ハグリッドの?」
「ええ、これは忠告です。ハグリッドのやろうとしている事は、上手くいきません。今すぐ放棄する方が良いでしょう」
「やろうとしている事……って?」
「それは言えません、彼への信頼を裏切ることになります。しかし止めるように必ず言って下さい。必ずです」
こんなにハッキリ物申すフィレンツェは珍しかった。それほどまでに、ハグリッドは危険を冒しているんだろうか。
まさか……と思う反面、あのハグリッドだからなあと邪推してしまう。
「それと、グレインの名を持つ娘よ」
「は、はい……」
「マナが乱れています。危険です。これから満月の晩、私の部屋を訪れてください」
き、危険……?
ぽかんと口を開けたクリス達は、うんともすんとも言えず、教室を後にした。
ハグリッドの事もさっぱりだったが、クリスがなぜ満月の晩に、わざわざフィレンツェの部屋を訪れなくてはいけないのかもさっぱり分からなかった。
マナが乱れている――フィレンツェの言ったことは、魔力を失った事と関りがあるのだろうか。
しかしあのチンプンカンプンな授業を受けた後に、フィレンツェの言葉を100%信用しろと言うには、いささか問題があると思ってしまう3人なのであった。