第24章 【Love ∞ destiny】
12月に入ると、ホグワーツもクリスマスムード一色になってきた。外は真っ白い雪が積もり、湖には厚い氷が張り、休み時間になると生徒がスケートをしている姿が見られる。
城の中は金のモールや可愛い人形等の飾り付けがされ、中庭の木には色とりどりの小さな明かりが灯された。
そんな誰もが浮かれるお祭りムードの中、クリスの心中は重く沈んでいた。
毎週のように行われるDAの集会では、皆が上達していく中、独り1年生用の呪文を復習しなければならなかったし、何よりもホグワーツに来て直ぐに出したチャンドラーへの手紙が、一向に戻って来ない事が何よりもの悩みだった。
日に日に笑顔が曇るクリス同様、ハリーの笑顔も少なくなっていった。初めはシリウスの事が気になっているのかと思ったが、どうやら違う様だった。
それはある日の夕方、いつもの様に4人で一つのテーブルを占領して宿題を片付けていると、ハリーがさり気無くロンに訊ねた。
「……ところでロン、クリスマスはどうやって『隠れ穴』に帰るの?」
「ん~、ママの手紙だと『漏れ鍋』までは地下鉄みたいだね。もう魔法省から車は借りられないからだってさ。そっからはフルー・パウダーを使うよ。でも何でそんな事が気になるの?」
「いや……ちょっとね……」
「良いじゃないか君は、マグルの移動方法には慣れてるんだろ?問題はクリスだよ。君、地下鉄って乗った事ある?」
「無いが……待て、私もハリーもクリスマスは『隠れ穴』で過ごすのか?」
「前にそう言わなかった、僕?」
クリスはブンブンと首を横に振った。ハーマイオニーからは既にクリスマスは家族みんなでスキーに行くと聞いていたが、ロンからの予定は聞いていない。
ケロッとした顔で答えるロンに、クリスは茫然として開いた口がふさがらなかった。その隣でハリーはこれまでの鬱陶しい顔から、我が世の春を謳歌せんという顔に変わっていた。
「ちょっと待ってくれ、その……私はクリスマスは別の用があるんだ」
「別って?まさかグリモールド・プレイスに行くって言うんじゃないだろう?駄目だよ、あそこは――」
「いや、そうじゃなくて……家に帰りたいんだ……」