第3章 【ハリーの怒り】
今日、やっとハリーに会える。それを期待にクリスはロンとハーマイオニーと一緒にケーキを作り、ハリーを迎える準備をしていた。
だが夜になってもハリーは来なかった。嫌な予感を振り切る様に、クリスは自室に籠って必死にバースデーカードにメッセージを書いていると、階下から怒鳴り声が聞こえてきた。
「僕の気持ちなんてちっとも分かってないっ!!何も知らされず、この1か月ダーズリーの家に閉じ込められていた僕の気持ちなんてっっ!!!!」
この声はハリーだ、クリスがメッセージを書くのに没頭している間に、ハリーが屋敷に到着していたのだ。
声の調子を聞く限り、かなり怒っている様子だ。クリスはメッセージを書いていた手を止め、怒鳴り声が聞こえてきた方に歩いて行った。
「君達は一緒に居たのに、僕だけが取り残されたっ!!何の情報も無く、ただ馬鹿みたいにゴミ箱を漁って新聞を読んで!!何かほんの少しでも手掛かりがないか必死に探していたっ!!君達は此処で、のうのうと暮らしながら、僕の事を哂っていたんだろうっっ!!!」
その言葉を聞いて、クリスはショックを受けた。そうだ、自分の事ばかり気にして、ハリーが独りマグルの家に取り残されて不安な気持ちになっていたなんて、これっぽっちも考えなかった。
クリスは自分を恥じ、ぐっと唇を噛み締めるとハリーの声がした部屋の扉を勢いよく開けた。
「ハリーッ!!」
突然現れたクリスに驚くハリーに向かって、クリスは激突する勢いで抱きついた。
「悪かった、ハリー。私、自分の事ばかり心配して……ハリーの事を、全然気にかけてやれなかった。本当にすまない」
部屋にシーンと沈黙がはしる。どうすれば良いのか戸惑っていたハリーだったが、その内そっとクリスの背中に腕を回した。
「……君、随分やせたね」
「ハリーの方こそ、また細くなった……苦労しただろう」
ハリーは会えなかったこの1か月の間に身長がぐんと伸び、その所為もあって、もともと細い体がより一層細く感じられた。