第21章 【DA】
「どうだ?ハーマイオニー」
「……大丈夫よ、シリウスが捕まった記事はないわ」
「良かった~」
一夜明け、クリス達は朝一番に大広間に行ってハーマイオニーが定期購読している『日刊預言者新聞』を待った。
もしシリウスがアンブリッジに捕まっていたら、きっとトップニュースになっていると思ったからだ。
しかし『日刊預言者新聞』には、相変わらずダンブルドアが老いぼれて正常な思考を失ったとか、ハリーが妄想癖のイカレポンチだとか、あとはアイドルのゴシップ記事などで、取り立てて面白い記事はなかった。
「それにしてもあのババア、ヘドウィグを襲って手紙を奪うなんてやり口が汚すぎるな」
「それもそうだけど、問題はこれ以上スナッフルと連絡を取れなくなった事が問題よ。煙突飛行ネットワークは見張られてるし、手紙も送れないし」
ハーマイオニーが神妙な顔をして新聞を折りたたんだ。確かに『闇の魔術に対する防衛術』組織を作るのに、唯一賛同してくれた大人であるシリウスの意見が聞けなくなった事は痛手だった。
それにシリウスは『忍びの地図』を作るほど学校の敷地内に詳しい人物だ。第2回目の会合の場所など、良いアドバイスを貰えなくなったのも痛い。
外はバケツをひっくり返したような大雨で、本物の空を映す大広間の天井は暗雲に覆われ暗かった。まるで自分たちの心を映したようで、ますます気分が滅入ってきた。
ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーがついため息を漏らす。と、急にハーマイオニーが何か考える様に唇に手を当て、小声でぶつぶつ囁いた。
「どうしたの?ハーマイオニー」
「でも……そうよね、うん。間違っては――いない、はずね。でも……」
「ハッキリしないな、いったいどうした?」
「その、私が思ったのは……私たちがやろうとしている事は、本当に正しいのかって――」
「なっ!?」
ハーマイオニーの突然の疑問に、クリス達は驚きすぎて思わず言葉が出てこなかった。ハーマイオニーは3人の興奮を抑えるよう両手を上げ、慎重に言葉を紡いだ。