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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第19章 【toraitr】


 それからどうやって学校に戻ったのか覚えていない。気が付いたらクリスは談話室のソファーに身を預けていた。
 魔力の暴走――小さい頃は癇癪を起こすと時々似たようなことが起こったが、まさかこの歳になって、しかも魔力を失っている状態にも拘らず、あんな大惨事を起こすとは夢にも思わなかった。

(本当に、私は不幸を呼び寄せる存在なのかもしれない)

 そう考え、クリスは勢いよく頭をふった。
 こんな事で沈んでいてはダメだ。こんな事でいちいち落ち込んでいたら、本当に闇に飲まれてしまう。気を強く持つんだ、とクリスは自分に言い聞かせた。

しかし正直なところ、何を心のよりどころにして良いのか分からなかった。
 父はもういない、母の杖は手元にはない、シリウスは軟禁状態で頼れないし、ルーピン先生に迷惑をかけるわけにはいかない。
 とすると――手詰まりになって、クリスはため息を吐いた。

「どうしたの?クリス」

 ふと視界が暗くなったと思ったら、ハリーがクリスを見下ろしていた。いつの間に帰って来たんだろう、その傍にはいつも通りロンとハーマイオニーもいた。
 クリスは一瞬『三本の箒』での事を話そうと思ったが、止めておいた。どうも今はその事について話したい気分じゃない。

「クリス、あのね……会合の事だけど――」
「ああ、あの時は悪かった。ついカッとなって出て行ってしまって……それで?会合の方はどうなった?」
「まあ概ね成功ってところかな?課題は山積みだけどね」

 まず、各クィディッチチームが練習と重ならないよう日時を指定しろって言ってきて、それから場所を探さないといけなくなって――と、ロンがクリスが飛び出した後、何があったのかをかいつまんで話してくれた。

「それでね、クリスさえよければ、次回の会合に来てくれないかしら?」
「私は良いが、他の連中が嫌がるだろう?」
「それは大丈夫さ。あのザカリアスって馬鹿には2度とでかい顔させないよう言い聞かせたから」

 ロンが自信満々にドンと胸を叩いた。
 その後、大広間で夕食を取り、ハリーとロンは積み重なった宿題を片付けるのに12時までかかった。
 その間、クリスはハーマイオニーと一緒にどこで第2回目の会合を行うか議論した。
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