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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第13章 【PMCS】


 そんな見ているだけで辟易とする部屋の中で、これまた悪趣味なピンクの花柄のローブを着たアンブリッジが2人を待っていた。

「こんばんは、ミスター・ポッター。ミス・グレイン」
「こんばんは、アンブリッジ先生」
「……こんばんは」

 クリスは目も合わさずぶっきらぼうに答えた。とてもではないが、真面目に罰則を受ける気なんてさらさらなかった。何をやらされるのか知らないが、出来るだけ早く済ませて早く帰りたい。

 アンブリッジはガマガエルそっくりな気色の悪い笑みを浮かべると、部屋の中心に置かれたレースのテーブルクロスがかかった机を指さした。机には椅子が2つ並び、中央に仕切りが設けられていた。

「2人ともそこに座って、もう準備は出来ています。罰則として書き取りをしてもらいます。文は『私は先生には逆らいません』ですよ」
「ふざけるなこのガマガエル……」
「え?なあに?よく聞こえなかなかったわ」
「いえ、何も。ところでインクが見当たりませんが」
「私の羽ペンは特別製で、インクは要らないの。さあ、始めてちょうだい」

 試しに羊皮紙に文字を書くと、羽ペンを持つ手の甲に痛みが走り、クリスは思わず「ッ!?」と声を上げた。
 手の甲を見てみると、今書いた文字と全く同じ切り傷ができ、羊皮紙には赤い文字が写っている。

 クリスがハッとして、仕切りの上からハリーを見ると、ハリーも同じくクリスを見ていた。どうやらカラクリは分からないが、ハリーも同様に自分の血で文字を書かされているようだ。

 手の甲の傷は見る見るうちに塞がり、薄っすらとした痕だけが残った。――面白い、これはアンブリッジからの挑戦状だ。
 少なくともそう捉えたクリスは、ハリーに向かって小さく頷くと、クリスは再び書き取りを始めた。
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