第16章 因中有果
『私はこうして悟と一緒にいれるだけでいいんだよ。いつも言ってるだろ』
「僕だってそうだよ。でもなまえが、僕を選んでよかったって、もっともっと思って欲しいんだよ。だからどんなに小さなことでも、僕が叶えてあげたい。ま、結局のところ、僕がただなまえの喜ぶ顔が見たいだけなんだけど」
そう言ってへらり、と笑いながら、五条はなまえの頭をくしゃりと優しく撫でた。言葉ひとつ、仕草ひとつで、今でもこうしていちいちときめかせてくれる彼に、何かしてあげたいと思うのはこちらの方なのにな、と思いながらその大きな黒い背中と肩を並べて、いつも通り帰路に着いたのだった。