第6章 落ちる[沖田side]
「オイ大石、怖ェならもっとこっち寄っていいんだぜィ?」
『え、』
「雷、苦手なんだろィ?」
『ち、違います!怖くないですよ!』
言いながら肩をビクつかせる大石に思わず吹き出しそうになった
これはまたからかい概のあるネタが増えたぜィ。
当分これでいじってやろうなんて思っていると突然先程とは比べ物にならないくらい大きな音が鳴った
「あーこりゃどっかに落ちたんじゃねー…」
『っ!!』
次の瞬間大石が勢いよく俺の腕に抱きついた
「!」
キィィー……ン
無機質な音が静かに俺の中をスーっと通り抜けた
なんだ…今の。
掴まれた右腕がだんだんと熱を帯びてゆく
『べ、別に好きでこうしてるんじゃないですから!すぐ離しますけど一応タイミングを…ね! 別に怖いとかそんなんじゃないんですよ…沖田隊長?ちょ、急に黙らないでください!!』
ドクンドクンと心臓の動きが速くなるのを感じた
『沖田隊長?』
おかしい…
『沖田隊長っ!』
「ッ!」
我に返り俺は彼女をドンッと傘の外に突き飛ばした
『ちょ、何するんですか!』
「うるせーくっつくな!」
『ええ!どっちですか』
後ろでごちゃごちゃ叫ぶ大石を放ってさっさと屯所への道を歩いた
違う…気のせいだ。
俺に限ってそんなこと…
右腕にはまだ先程の掴まれた感触が残っていて自分でも顔が火照っているのがわかった
それから屯所に着き濡れた体をタオルで拭いていると同じく濡れ髪をタオルで拭きながら大石が傍に駆け寄ってきた
『沖田隊長!』
名前を呼ばれたと同時にドクンと脈打つ心臓
「…何でェ」
『もう会議始まってますよ』
「知ってらァ…」
『…それからあの、さっきはありがとうございました!』
「…?」
『山崎さんから聞きました。酷い雨だったから沖田隊長、心配してわざわざ来てくれたんですよね』
「…チッ、山崎あいつ…あとでシメる」
『まぁ元はと言えば隊長が私をパシらせたのが原因なんですけど、一応傘…ありがとうございます!』
それだけ言うと大石はニコッと笑って会議室に入って行った
俺はそのまま自室に入り布団に仰向けに倒れこんだ
「はぁ…」
何でィ…あの顔
- ありがとうございます! -
「マジかィ…俺」