第5章 優しさにも色々な種類がある
「…馬子にも衣装だな」
『絶対言うと思いましたよッ!』
別に沖田隊長の口から"可愛い"なんて言葉は最初から期待してはいなかった
『では私はこれから副長と打ち合わせがあるので…』
そう言って沖田隊長の横を通り過ぎようとしたとき彼に腕を掴まれた
「オイ、」
『何ですか?』
「それも付けてくのかィ?」
そう言って沖田隊長が私の頭に挿した簪を指差す
『?そうですけど…』
「ふーん…」
沖田隊長はどこか不服そうな表情を浮かべる
『だって仕事以外はいいって…』
「仕事」
『あっ…』
確かに!
着物着てるってだけでこれは仕事にはかわりなかった!!
『でもせっかく着物なのに…』
「…まァ、んな格好する機会もそうそうねェんだし、今日くらい夢見てもいいんじゃないですかィ」
そう言って隊長は欠伸をしながらそのまま部屋を出て行った
『…』
「結衣ちゃんっ…気にすることないよ!沖田隊長素直じゃないからさ…その着物も簪もとっても似合ってるよ」
そう言って苦笑いする山崎さんを横目に再び沖田隊長が出て行った方を見つめた
- まぁんな格好する機会もそうそうねェんだし、今日くらい夢見てもいいんじゃないですかィ? -
さっきのって…
怒ってた…?