第25章 人は試練を乗り越え強くなる【真選組女中編⑤】
その後室内に入り、何とか沖田隊長と合流した私は彼の隣を歩きながら外とは打って変わった中の雰囲気にすっかりと惹き込まれてしまった
『わぁ…結構暗いですね』
「お化け屋敷なんだから当たり前だろィ」
『あ…そういうものなんですか』
「そういうもんでィ…」
お化け屋敷を楽しむ気は更々ない様子の沖田隊長は出現するオバケには見向きもせずどんどん先を歩いて行く
でも確かにこんな所にホシが偶然いるとは思えないし…そもそもこんな暗いんじゃいても気づけるわけないか…。
「オイ」
『はい?』
「お前…怖くねェのかィ?」
『え?』
突然振り向いた沖田隊長の言葉に私は目を丸くして首を傾げた
『えっと…そうですね。オバケとか非現実的なものはあまり信じないようにしてるので…』
言いながら苦笑いを浮かべると沖田隊長はふーんとだけ言って再び前を向いて歩き出した
その様子を不思議に思いながらふと辺りを見回すと、カップルであろう2人組の男女が腕を組みながら奥へと進む姿が目に映った
そして女の人の方は時折男の人にしがみついたり、オバケが出る度に悲鳴を上げたりしている
…はっ!
『もしかして私、また女子力低いとか思われたんじゃ!?』
[一応自覚はあったんですね]
頭を押さえ何かを察した私の無線から杏子ちゃんの鋭いツッコミが飛んで来た
『もうダメ助けて!色々頑張って話題は振ってみたけど全然会話にならなかったし、それどころか私の女子力の無さがどんどん浮き彫りになっていく一方だよ!』
[落ち着いて下さい、お二人の話は聞いてましたけど確かにアレは会話とは言えません。それから女子力に関しては今更変えようとしても手遅れなんでもう諦めましょう]
『ええっ!何気に酷い!』
[それよりも私が気になったのは…もっと沖田さんと恋人らしく出来ないのかってことです!]
『もっとって言われてもまだ何も出来てないし…ついさっき兄妹ってことにされたばかりなんだけど』
急に態度や言動を変えたところで不審がられるのは目に見えてるし、何が恋人らしいのかなんてもうわからないよ…。
肩を落とし溜息をつく私に杏子ちゃんは何かを思いついたように口を開いた
[よし!…こうなったら最後の手段ですよ結衣さん!]
『最後の手段?』
[はい!…沖田さんと手を繋ぐんです!!]
『…。』
え…
