第19章 甘い物の食べ過ぎには気をつけろ
『お、沖田隊長?』
掴まれた腕が…少し痛む。
そのまま見合いの席まで連れてこられた私は沖田隊長のお見合い相手である女の人の前に立たされる
「沖田さん…こちらの方は?」
「すいやせん、今回の見合い破談にしてもらえやせんか」
「えっ」
『!?』
沖田隊長の言葉に私は驚いて彼を見つめた
「アンタは悪い人じゃねェし、寧ろ綺麗で俺には勿体ねェくらいのお人でさァ。…けど俺にはもう、ここに一生護るって心に決めた女がいるんでィ」
そう言って沖田隊長は私を引き寄せる
『え…』
えええええ!?
『お、沖田隊長何言って…』
「だからこの先…目の前にどんなにいい女が現れようと、俺はこいつ以上にそいつの傍にいてェとは思えねーんでさァ」
沖田隊長の言葉に私は自分でもわかるくらい顔が真っ赤になった
そんな私と沖田隊長を交互に見つめ、女の人はそっと微笑んだ
「…そうですか。そこまで想われてる方がいらっしゃったなんて…知りませんでした。…でも人を好きになるってまさにそう言うことなんですね。…私もその気持ち、少しわかる気がします」
『…。』
「実は本音を言うと、私もこの縁談はあまり乗り気ではなかったんです。お父上の命で仕方なく受けるしかなかったんですけど…。でも貴方に言われハッとしました。やはり結婚は本当に好きな人とするべきですよね」
「…」
「でしたら、この縁談をこれ以上続ける必要もありません。…でも大丈夫、お父上には私から上手く話しておきますから。"沖田総悟は私の好みのタイプじゃなかった"ってね!」
そう言って切なそうに笑う彼女を見て私は初めて、この人は沖田隊長のことが本気で好きだったんだと気づいた。
何かを手に入れるということは、
何かを犠牲にしなくてはいけないのだということを改めて知った。
『…沖田隊長』
「…。」
そしてそれは、いつか自分にも訪れる日が来るのかもしれないということを…初めて知った。