第13章 旅のお供には信頼出来る奴を置け【帰省編①】
「何でィ…俺じゃ不満ってか?」
『は!?いえ、じゃなくてあの…だってあんな感動的な別れ方を…』
「大石!」
『はい…!』
「言っとくが俺ァ真選組やめるなんて許可した覚えはねェ…」
『…えっ』
「お前の親父にお前が真選組の隊士であることをわからせてやらァ」
『わからせるって…でも父上に逆らったら…』
「お前…忘れたのかィ?」
『え?』
「俺達真選組が動くのは護るべき者護る時でィ。オメーの親父なんか知らねェ、俺はあいつとの約束を守るだけだ」
- 沖田隊長、結衣を頼みます -
『あっ…』
「テメーの意志じゃなきゃこんなこと…しやしねーよ」
『ッ…』
どうしよう。
もう泣かないって決めたのに…
『でも…そんなことしたら沖田隊長が…』
「何度も言わせんな。…真選組とは関係ねェ、俺は俺1人の意志で行く。テメェは母親に会いに行くことだけを考えてろィ。」
そんなの…ずるいですよ。
「…豚は豚らしくご主人様の下でせっせと働いとけばいいんでィ」
『だ、誰が豚ですか!沖田隊長こそ…今日オフじゃないくせに仕事ッグズッ…サボらないで…くださいよッ』
「あー泣くな、不細工な面見たら目が潰れちまう」
悔しいのに嬉しい。
『沖田隊長のばかぁ…』
「バカはお前でィ、泣き虫」
そう言って私の頭を軽く小突く目の前の彼の優しい表情に胸が締め付けられる
この感情が持つ意味はまだ…私にはわからない。
沖田隊長、私はもう誰も傷つけたくないんです。
それなのに…どうしてか
こうしてあなたが目の前にいると、またあの場所に
みんなのいる真選組に帰りたいと思ってしまうのです。