第6章 背中合わせの君達へ
□背中合わせの君達へ
「大丈夫。まだ頑張れる。」
『大丈夫だ。まだ耐えられる。』
たった2人では世界を背負えない事など
誰が見ても明確だった。
背中合わせで戦う君達は
それでも何とか生き残る。
「生きてね。」
『死ぬなよ。』
お互いの事を思いながら
ずっと背中合わせで2人は進み続ける。
背中合わせだから
お互いの怪我など見えないのだろう。
「怪我…してる?」
『してないよ。……お前は?』
「私も大丈夫。元気だよ。」
2人は知らない、お互いもう動けない事を。
「貴方が居れば私は大丈夫。」
『お前が居れば俺も大丈夫だ。』
こんなに近くにいるのに
お互いの本当の部分は知らない。
それでいい。2人はそう思っているが
それがなんと滑稽なことか。