第5章 君を見つけた
「(運命…ってあるのかな。)」
男など自分が女であるための道具で
自分を上手く使えば手に入ると思っていた
そんな彼女は1人で画面を見つめて頬を染める。
何故か胸が高鳴ったナンパな青年に
彼女は柄にもなく一目惚れをしたようだ。
「ねぇ、ゆきちゃんくまくん。
ひなたママ初めて恋したみたい。
…………ど、とうしたらいいかな?」
白色と黒色の愛猫を撫でながら
頬を染めてそうつぶやく彼女は
その純朴そうな顔によく似合う
可愛らしい顔をしていた。
「…悠真くん。…デート誘ってくれるかな。」
彼女はもう5000円以上の趣向品も
これからは自分で買うだろう。
自分を可愛くしてくれる
素敵な人をみつけたのだから。
「……メイク動画でも見ようかな…。
ちょっと…ちょっと……が、頑張ろう。」
きっとその可愛らしい努力は報われる。
”君を見つけた”
意中の彼はそう言って浮き足立ってるのだから。
それが 運命 かはまだ分からないが
2人が出会ったことに何の変わりも無い。
何億何千何万何兆。
桁も位も不明だがそれは奇跡に変わりない。
知らない2人の退屈な毎日は
人気のない小さな駐車場で君を見つけて
なんとも色鮮やかに色づいたのだから。