第12章 リンドウ(夏油傑)
痛がるそぶりはほとんどないが、きゅっと喉が締まり、身体が強張った。
火照っているのか、指先が少し赤い。
──こういうのを、ヒトは愛しいと思うのだろうか。
柔らかく小さな手を握ると、嬉しそうに握り返してくれる。
──るるは、私を愛しいと思っているのだろうか。
「ぁ…!っ…!」
奥まで進むと、彼女の弱い一点を掠る。
生理的に漏れる吐息が年端もいかぬ少女とは思えない程に妖艶だ。
呼吸音の柔らかさがなんとも耳心地がいい。
冷たい細い腕がゆっくりと背中に回る。
肌が触れ合う音と粘着質な水音。
この空間に慣れてしまうともう他の雌は抱けない。
幼い顔立ちがじわじわと愉悦に濡れていく。
静寂な空間に波打つ快楽と、自分の視界に広がる背徳的な景色に、じっとりと汗が流れた。
肩に乗せた足先を撫でるとすっかりと力を入れて丸められている。
ふ、と笑みが微かに漏れ、絶頂を迎える準備をしている身体を優しく抱いた。
楔が最奥に、まるで最初からそこにあったかのように納められ、襞が更に奥へと誘う様に蠢く。
頭の奥が痺れていく。
滑らかな肌が湿っている。
隙間をあけずに体重をかけると吸いついてくるようで心地良い。
彼女には私しかいないように、私の居場所も彼女にしかないのかと思うと、なんとも感慨深い。
もし人類が運命という物を重んじる生き物ならば、これはこれで、いいのかもしれない。