第11章 クロユリ6(五条悟)
「さあ、何観ようか?」
お昼頃に目覚めて、先生はとても元気そうに段ボールからDVDを選んでいる。
「えっ、と……」
生まれたての小鹿のようにしか歩けない私をさっさとソファに座らせると、いつの間に買ってきたのか、ポップコーンのバケツと飲み物も用意してくれる。
「本当は今日オフだったから、一緒に行こうと思ったんだけどねぇ。
周りの奴らの反対とか、小鹿みたいなるる見てたら、家でもいっかなって」
「…こ、小鹿みたいなのは、先生のせいです…」
長すぎる夜のそれをふと思い出して顔が熱くなる。
まだ脚の付け根やお腹の奥が痛い…。
「嬉しそうにしてたのに」
色っぽく笑われると、上手く否定できない。
これにしよう、と先生は映画を決めると、それをプレイヤーにセットして私の隣に座った。
かと思えば膝の上に乗せられた…。
「たまにはいいね、こういうのも」
いつもより雰囲気の柔らかい先生を見て、よくわからないけど、嬉しくもあり、安心するような心地よさがあった。
ただ、見せられた映画は、あまりにもこの甘い雰囲気には似合わないものだった。
次からは選ばせてもらおうと、強く誓った。