第9章 クロユリ5(五条悟)
先生は、私をこの学校においてくれるために、かなりいろいろ奔走してくれたらしい。
それを聞くと申し訳なかった。
いつもそうだから、と校長先生に言われて、まあですよね、というわけにもいかず、無言でいた。
というより、こういう関係になってしまった以上はこういう処置しか出来ない、と丁寧に逆に謝罪されてしまった。
それほど、先生はこの業界にとっては大切な存在なんだと知って、私の方もとんでもないことをしてしまったと深々と謝る。
お世話になりました、と頭を丁寧に下げ、障子を閉めた。
さあ帰ろう、と笑顔で背の高い影が手を繋いでくれた。
元の制服に戻った私を見て、先生はどこか嬉しそうだ。
「るるにはそっちの方が似合うね」
とニコニコしながらあちこち触ってくる。
「や、やめてください…!」
車の中といえど、運転手さんのがいるし咳払いしてるしとどうにか制止した。
ふとさっきの校長先生の話を思い出す。
「先生、私…」
と言いかけると、何も心配ないよ、と変わらない笑顔で言ってくれる。
私自身もこうなるつもりは、正直なかった。
嬉しいといえばもちろんそう。
先生が行き場のない私に、助けを差し伸べてくれた時、私はもう好きになっていて断るすべが思いつかなった。
今、それを猛烈に後悔している。
「今日オフにしたから、帰ったら制服でシよう…」
「ふえ!!!??」
「ばっちりスケジュール入ってます、勝手にオフにしないでください」
「えーー!!いいーじゃーん!!
家出少女の醍醐味を奪うなよー!」
「破廉恥ですやめてください」