第8章 クロユリ4(五条悟)
呪いの指輪。
少し気掛かりなことを思い出した為、すぐに解呪したが、自分の些細な気まぐれがとんでもないことになったなと思った。
行き先のなくなった純な女の子と、その大切な貞操を奪うことにまで発展するとは。
今後は気を付けよう。
それほどまでに、それの執着は恐ろしい。
人間とは不思議なものだ。
異文化からの風習を浸透させ、それがまさか強い呪となることがある。
改めて体内にある血肉と魂の関係の深さを思い知った。
かくしてこの純情で真面目そうな女の子の責任を取ろうと連れてきた。
飽きられるまで付き合って、やがて振られるまでそのままで良いか、なんて甘い考えだった。
年も十近く離れているし、こんな不真面目で軽率な野郎なんて性格が合わずにすぐに捨てられるに決まっている。
なるべく傷付けないよう接して離れよう、と思っていた。
自分の言動に一喜一憂する表情や、健気に帰りを待つ姿や、気分でたまに抱いている時のその艶やかさに、こちらの方が気付けば堕ちていた。