第2章 悲しき奥多摩湖ロープウェイ
周遊道路脇の石段を登ると途中で途切れていた。
斜面を登れってことかね…。
【一時停止から50年近く手付かずの状態で放置されていますが、施設やゴンドラは手続き上、運行再開を念頭に置いています。
が、老朽化によるケーブルの切断や鉄塔の倒壊などの危険性が指摘され、過去に地元自治体である奥多摩町と東京都などで撤去について検討が行われました。】
木々に掴まりながら登ってみれば、三頭山口駅は見事に廃墟と化していた。
【しかし、所有者である小河内観光開発の消息が不明なこと、自治体からの支援を受けていない純粋な民営であったため、現状で著しい障害が発生していない以上所有者の同意がないままでの強制撤去は法令上出来ないこととなります。
仮に撤去が可能であっても事業者がすでに消滅し、かつ経営責任者の消息が不明になっており撤去費用の請求ができないこと(経過年数を考えると既にいないものと考えられる)、費用が莫大になり地元自治体が財政負担に耐えられないことなどの問題により撤去等の措置が講じられない状況です。】
もう誰も乗ることのないゴンドラが木々に覆われた駅舎に寂しく佇んでいる。
観光客や登山者で賑わっていた面影は、そこには無かった。
ただ、静寂が支配する空間が残っているだけだ。
秋晴れの奥多摩湖…。
忘れ去られたロープウェイで湖上から紅葉の山々を見てみたい気がした。
end