第8章 保健体育 〜実技〜
20XX年───
少子高齢化が進み、若者が限りなく少なくなった日本。
政府はとうとう、少子高齢化対策の法を制作した。
『国民は、生涯終えるまでに最低二人の子を出産する。』
この法律が出来たことによって、中高生の性教育はかなり発達した。
中学では異性との違いや性感染症の他に加えて、性行為の際に行う行動など。
高校では色々な体位や受精しやすい時期などについて、男女合同で学ぶことになった。
「なんでよりによって今年から…?あと少しで卒業だって言うのに…!」
高校三年生の私は、隣を歩く友達に愚痴をこぼす。
「本当それ!しかも今日一時間目保健体育だよ?」
「えっ、朝から性教育!?」
めんどくさいとうなだれながら自分の席へつく。
HRが終わると10分の休憩を挟んで保体の授業が始まった。
「はいじゃあ今日は隣ペアで実践を行なってもらいまーす。」
先生の口から出された言葉に教室がざわめく。
「はぁっ?実践って…」
「隣ペアって男女だよな…?それに実践ってまさか…」
「今日は今まで授業でやってきた内容を実際にペアで行ってもらいます。抵抗があるとは思いますが、法で決定されている事なので我慢してくださいね。」
皆が予想していたことが真実となり、教室は困惑から一気に批判へと変わる。
「はい静かにして下さーい!まずは女子、シャツのボタンを外しなさい。」
周りの女子たちが、顔を真っ赤にして固まる。しかし先生に促され、震えながらボタンを一つ一つ、ゆっくりと外していった。
(うそ…本当にやるの…っ?)
恐る恐る私の隣に座る奏汰の方を見る。彼とはよく話す方で、苦手な数学をよく教えて貰っている。
「あ……奏汰……、」
声を出すと、自分が震えていることに気付いた。
「え、ちょ…俺…?」
男子達も同じように焦っているらしく、いつもは目を合わせて話す奏汰も、今は視線を外している。
周りの女子たちはボタンを外し終え、開いたシャツの隙間から胸がこぼれている。
「柴藤、何やってる?あとはお前だけだぞ、急ぐんだ。」
「は、い……」