第2章 凛とした強さとギャップ
「確かに…アイツは見た目あんなんで、中学では問題も起こしました。」
「そうだろ?」
「でも、私は誰よりも洋一のことを知ってるつもりです。」
「えっ?」
「アイツが本当にダメな奴なら今まで一緒にいません。先輩は洋一の何を知ってるんですか?」
「いや…何をって…」
「洋一は今、野球部で頑張ってるんです。あんな見た目で口も悪いけど、先輩たちに混じってレギュラーです。」
「…っ」
「野球部の皆さんは洋一の過去や見た目なんて関係なく、野球で認めてくれます。」
「…」
「うちの部は違うんですか?じゃ、洋一と一緒にいる私はバスケ部に相応しくないですか?」
すっげ…先輩相手に真っ直ぐに前を向いてる。
倉持、お前の幼馴染みはすごい奴だよ。
「こんなくだらないこと気にする部だなんてガッカリさせないでください。洋一といるのがダメだと言うなら、私はバスケ部を辞めても構いません。」
「あっ…嫌、辞めろなんて…」
「生意気言って、すみません。それくらいアイツは大切なので。失礼します。」
真琴はキャプテンに頭を下げて体育館に戻って行った。
残されたキャプテンも、一部始終を見てた先輩たちも呆気に取られてる。
俺は小さく笑ってしまった。
先に口を開いたのは純さん。
「あの子…すげぇな。」
「うん…驚いた。」
「む。倉持はいい幼馴染みを持ったな。」
元気が取り柄と思われてた真琴
の印象がガラリと変わった出来事だった。
「うちのエースに辞められたら困るんですけど。」
真琴が去ったキャプテンの元に一人の女の子が近寄ってきた。
『あれ、誰っすかね?』
「うちのクラスの女子バスケのキャプテンだ。」
哲さんが教えてくれた。
「真琴はバスケ部にガッカリって言ってたけど、あんなこと言ったアンタにガッカリしたはずよ。」
「なんだよ。見てたのかよ。」
「あの子を呼びに来たら、アンタがくだらないこと言ってるから。」
「うるせぇな。」
「これ以上、変なこと言ったり、何かしたら許さないわよ。あの子はうちの部に必要なんだから。」
「ふん、わかってるよ。」
「それに、真琴の幼馴染みの子に変なことしたら同じく黙ってない人たちがいるわよ。」
そう言って、その人はこっちを見た。