第20章 一線・倉持※裏
秋大優勝の翌日、練習は休み。学校も週末で休み。
優勝の報告も兼ねて実家に帰ってきた。
「も~っ!せっかく子供たちが久々に帰ってくるのにいないってどうゆうことよー!」
隣の家の前で叫ぶのは一緒に帰ってきた真琴。
「仕方ねぇ~だろ。いきなり帰ってきたんだし。」
「洋一はそうかもしれないけど、私はちゃんと昨日連絡したの!」
元々、決まっていた町内会の旅行に行って明日まで帰ってこない家族。
それでも誰もいない実家に帰ってきた。
だって、本当の目的は違うからーーー
「まぁ、とりあえず家入ってのんびりしようぜ。」
そう言いながら俺は家の鍵を開けた。
「うん。。。あっ!夜ご飯はうちでいい?」
「おっ!なんかあんのか?」
「わかんないけど、洋一に任せたって何もできないでしょ。」
「そっ、そんなことねぇーよ!」
「まっ、とりあえず後でね!」
そう言いながら真琴は自分の家の玄関を開けて中に入っていった。
俺も家に入り、久々の実家の居間に荷物を投げてソファーに寝転んだ。
いつの間にか眠ってしまった俺は携帯の音で目を覚ました。
相手は真琴で〈そろそろご飯食べよー〉とメッセージ。
俺は〈すぐ行く〉と返して、慌てて着替えて隣の家に向かった。
ピンポーンーーー
はーい!の声と同時に玄関が開く。
「よぉ。」
「どうぞ~入って。」
「お邪魔しまーっす。」
玄関の鍵を閉めて、真琴の家のリビングに入るといい匂い。
「おっ!なんか美味そうな匂いしてんじゃん。」
「うん、まぁ~冷蔵庫にあるものだとこれくらいしか作れなくて。」
食卓テーブルを見ると俺の大好物。
「オムライスじゃん!」
「そうだよ~洋一好きでしょ?おばさんみたく美味しいかはわかんないけどね~」
そう言いながら真琴は冷蔵庫からサラダやお茶を並べてくれる。
「座って、座って。」
「おう。」
最後にスープを置いて、真琴も座る。
「じゃ、どうぞ!」
「いただきまーす!」
俺はオムライスを一口頬張る。
「うん!美味い!」
良かったー!と真琴は嬉しそうに笑った。