第1章 出逢い
「痛っ!蹴るなバカ!」
『ははっ。』
これで仲良くないなんてありえないっしょ。
こんな倉持見たことねぇし。
「あっ!御幸くん、練習行くとこなのにごめんね。」
『あっ、嫌…大丈夫。倉持の幼馴染みに会ってみたかったし。』
「会ってガッカリだろ?」
「ちょっと!どうゆうこと?」
また二人がギャイギャイ言い合い始めた。
ガッカリなんて思わない。
もっと知りたい。
「御幸くん!なんかこんなんでごめんね。」
『えっ?』
「洋一こんなんだけど、よろしくね!」
「あぁ?なんでお前が頼むんだよ!」
「御幸くんも練習頑張ってね!」
『あっ…ありがとう。』
「俺は無視かよ!」
「じゃ、御幸くんまたね!」
高野真琴はそう言って倉持の荷物を掴んだ。
「てめぇ、真琴!何すんだよ!」
「うるさい!洋一は遅れて罰走させられろ!」
「真琴!」
倉持がマジギレしそうな瞬間、パッと手を放して体育館の方に走って行った。
やっぱ早い(笑)
高野真琴はもう一度振り向く。
「洋一も頑張れよー!」
「うっさい!お前もな!」
そう言うと手を振って、今度こそ走って行った。
倉持や川上から聞いたり、遠くから見ていたあの子が、急に目の前に現れ俺のことを知っていた。
可愛い顔して、倉持と対等にやり合うギャップ。
気にならないわけがない。
もっと知りたいーー
今日のこの出会いが、徐々にあの子…高野真琴を知るきっかけになった。