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青空の彼方【ダイヤのA】

第5章 夏合宿


結城side


夏合宿中は普段通いの俺も寮で寝泊まりする。

せっかくの寮生活、みんなと一緒に過ごせるのに。。。

誰も将棋に付き合ってくれないのはなぜだろう?

誰か相手がいないかと食堂に来てみたがーーー誰もいない。


ふぅ。。。


短い溜め息をついて、食堂を出ようとドアを開けるとーーー

「あっ。。。」

「あっ…お疲れ様です。」

部活帰りの真琴が通りかかったとこだった。

「今、帰りか?」

「はい。」

「今日は練習試合と言ってたか?」

「はい!もちろん勝って帰ってきましたよ!」

そう笑顔でピースサインをした真琴のその手に目が止まる。

「真琴、その手どうした?」

「あっ…これですか?」

真琴は大したことはないと包帯が巻かれた右手をヒラヒラと動かしてみせた。

「練習試合の学校を歩いていたら、野球部のボールが飛んで来たので咄嗟にキャッチしちゃったんです。」

えへへ…と笑う真琴に軽い目眩を覚える。

「素手でボールを捕るなんて危ないじゃないか。」

そして、無意識に真琴の包帯が巻かれた手を取る。

「…っ///だっ、大丈夫ですよ?打球じゃなくて、キャッチボールが反れたのでしたから。。。痛みもないから普通に試合も出ましたし、念のためって大袈裟に包帯巻かれただけですから。」

「そう言う問題じゃない。バスケにとって手は大事だろ?」

「はい。。。」

「それに…真琴は女の子なんだから、そんな無理したらダメだ。」

「えっ…///」

少し顔が紅い真琴の頭に優しく手を置く。

「今日はゆっくり休め。その手で不便があったら、俺でも他の奴らでも遠慮なく言うんだぞ?」

「はい…ありがとうございます。。。じゃあ…失礼します。」

真琴はペコリと頭を下げて部屋へ向かった。

その後ろ姿を見送り、無意識に真琴に触れた自分の手に視線を落とす。


しっかりしてるようで、危なかっしい。。。

いつからか俺は真琴がほおっておけなくなった。

この気持ちは何なのか。。。
これが恋なのか…ただ妹のように想っているのか、今の俺にはまだわからない。。。

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