第3章 二人の距離
「真琴ー!!早く、次こっちー!」
さっきまで哲さんがやってたバレーのコートの方からクラスメイトが呼んでいる。
「わかったー!今行くねー!!」
『えっ?次バレーボールも出るの?』
「そうだよ♪」
真琴はニッコリ笑う。
「ソフトボールもリレーも全種目制覇♪」
『ええっ!?』
「今日は楽しい1日だよ♪」
「ヒャッハハ♪」
「じゃ、またねー♪」
そう言って今度はバレーボールの試合に並んでいる。
『真琴ってホントになんでも出来るんだな…』
「ヒャハ♪俺と一緒でな!」
『いや、お前とは違うだろ?真琴は勉強も出来るし。』
「うっせーな!」
『はっはっは♪』
ーーーーーーーーーーー
「ほら、御幸!」
ゴール前、フリーの俺に倉持からのパスーーー
すかん。。。
えっ?
ええーーーーっ!!
周りがざわつく。
「御幸…マジかよ。」
俺はサッカーだけはマジで苦手なんだよ。
「御幸くん!頑張れー!!」
マジか…真琴見てたのか。
その後も俺はいいとこなし…
「あーっ、もう!」
イライラした倉持が近づいてきた。
「お前、ヘタ過ぎんだよ!もう替われ!!」
『いやいや、替われって誰もいねぇんだから仕方ねぇだろ?』
「いや、いるぜ。」
『はっ?』
そう言って倉持は試合を見ていた1人に声をかけたーーー
「真琴!お前、御幸と替われ!」
「『はぁぁぁ!?』」
俺と真琴はもちろん、周りの奴らも驚いた。
「ヒャハ♪早く来いよ!」
倉持は真琴の手を引いてコートに戻る。
「ちょ、ちょっと待って!まずクラス違うし!サッカーは男子の種目だし!」
慌てる真琴をよそに、周りは盛り上がってる。
「きゃーっ!真琴先輩頑張ってくださーい!」
「真琴ならできるよー(笑)」
「ヒャハ♪お前、モテんなぁ。」
「洋一!!」
「大丈夫だって!お前なら俺の足に付いて来れんだろ?俺に任せとけって♪」
倉持はくしゃっと真琴の頭を撫でる。