第3章 市丸裏夢
指を引き抜いたギンは愛液がベッタリとついたソレをべろりと舐め、私の言葉を聞いて珍しく青い空色の瞳を覗かせキョトンとした。こんな事を言うのが彼にとっては意外だったらしい。
「…珍しなぁ。甘ったるい事言うなんて。」
「煩い。……それより、媚薬まで盛ってあれだけ好き勝手したんだから最後までちゃんと責任取って。」
「ハイハイ、お望み通りに。」
ギンは風呂に置かれた椅子に座る。いつの間にかすっかり勃ち上がった性器を緩く1度扱く。熱くて、硬い。私は彼の両足を跨ぎ片手で掴んだ性器の先端を自分の秘所へ宛がった。
「ん…ッ、挿れて欲しい?」
「ボクの事焦らしとるつもりなん?耐えられへんのは自分の癖に。」
「別に耐えられなくなんか……!」
「しゃあないなぁ、ボクが手伝ったるわ。」
「は?え……あぁッ!!」
自分の真下にいる男の顔がニンマリ笑ったかと思えば、徐にガシリと腰を掴まれる。嫌な予感に頬が引き攣ると、腰を掴んだ手が私の身体を一気に下へ降ろした。己の意志に反して太く熱を帯びた塊が内側の壁を擦りながら深くまで穿き子宮口まで小突く。調子に乗ったバツだとばかりに容赦なく与えられた悦楽に軽く達してしまった。
「あらら、どないした?挿れただけでまーたイッてしもうたん?えらいやらしいカラダやなぁ。」
「はぁっ……あ…ぜ、絶対いつか、仕返ししてやる…!」
「ひゃあ、怖い怖い。ほなそんな気起こらん位、無茶苦茶に抱き潰さんと。」
余裕の表情を見せるギンに些か苛立ちを覚えるが、近付く唇に瞼を降ろす。両手を首の後ろへ回し抱き付けば胸が彼の胸板に当たり、暖かい。こんなに細いのに筋肉はしっかりついてるんだから、狡い男だ。
差し出される舌に己の舌を絡め口づけに没頭する。唾液同士が混ざる水音が、お風呂だからかやけに響いて聞こえた。
「んンっ…は、ふぁ…。」
「っふ……。」
私達は付き合ってない。キスなんて、セックスを盛り上げる為のパフォーマンスの一つでしかない。分かっているけれど、こうしてる時間はとても幸せだった。愛されてる様な錯覚を与えてくれるから。でもそれと同じくらい、胸が痛くなるのだ。
軈て唇が離れた。何だか今日は妙に名残惜しくなってしまい、離れた唇に自分から唇を押し付ける。
「…積極的やな。気分乗って来たん?」
「いつだって、ノリノリよ……、んッ。」