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きみと/財前裏

第1章 #1


息を上げながら小さな汗を滴らせる彼の姿は妖艶に映った。

『い、いいよ…』

「え?」

『好きにしていいよ…』

この人は自分のことが好きなんじゃないか?そう錯覚するほど蕩けた目に自分の方がクラリと意識を揺すられる。

「…冗談言いなや。泣いても知らんで。起こしますよ」

横になっていた姿勢から、繋がったまま上半身を起こし彼の上に座ったような体勢になる。

「えろ…奥突いたるからええ時教えて」

返事など待っていないように強く抱かれ唾液が混ざり合うほどのキスに頬が熱くなった。

『んんっ…っふ!』

口付けながら腰を上下し奥を突かれる。弱い所に当たるのか声高く鳴いていた。

「指とは比べ物にならんでしょ?」

目の前がチカチカとする程の衝撃。

『あ、ぁ…また、だめ…っ』

「イけよ」

『ふぁ…あ…あああっ!!』

「は…キツ…ッ」

達しても尚突かれ続けたが、彼も欲を解放したらしく動きが止まった。

「…めっちゃええやん…遊んでもろてどうも」

ワックスの乱れた髪を掻き上げた後、ティッシュで液体を拭き取る財前をぼーっと見たままの名前を怪訝そうに見返す。

「何?俺が好きになった?」

『え…』

彼女の服を整えながら口付けた。

「うそ」

『待っ…』

「暖かくして寝てください」

ストールのようにマフラーを巻かれ、ベッドに一人残された。

――――――――――――――――

これだけ鮮明に覚えているのに忘れたなどと言われるなんて。

『あっ、ん…』

「これは思い出し濡れ?俺に迫られて期待したん?」

図星なのか、答えられず濡れた目で彼を見つめた。

「あんたのそういうとこズルい…」

蜜の溢れる中を指先で掻き回し立っている膝が震える。

「イきそうな先輩かわええよ」

『ねえ…なんでこんなこと…?』

ふるふると1人で立っていられない彼女は怯えたうさぎのようだ。

「好きやから。先輩のこと」

名前の瞳孔が開くのと快感から上り詰めるのは同時だった。

『んっ…んんぁ…はぁ…』

「口塞いでないとすぐ声出るんやから」

唇を舌で撫でられ肩がぴくりと上がる。

「人間欲には勝てんけど…嫌なら無理せんでください」

また逃げるように去っていく彼を追いかけることが出来なかった。
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