第29章 げんこう すみこみルート
私はドア越しから
「すみません。ちょっとだけ出ますがまた戻りますね」
「···分かったよ」
(淡々とした答えをする先生だな)
まっ··
その方が私も助かる
パタン
ーーーー····
ガチャ
(···まだいるのか?)
「あっすみません。ちょっとだけ台所借りてますね。」
「·····」
「ひとまず先生の冷蔵庫空っぽだったのである程度の作り置きしときま····!?」
ぎゅっ···。
うりうり
「····落ち着きます」
「あっ··はぁ··それは良かったですので、ちょっとだけ離れてくれますか?料理が··上手く出来ません」
ぱっ
「分かったよ」
(すんなり聞く先生だな)
☆☆
コトッ
「出来上がりました。ゆっくり食べてくださいね」
「君は?」
「私はまだ片付けありますから」
パタパタ
パタン····。
(···久しぶりに食べた日本食)
☆☆☆
コトッ
「お茶どうぞ。原稿お疲れ様です」
ズッ···。
「名前を教えてくれないか?」
「はい!私は小吹天音と言います。先生の事は国木田さんから聞いています」
「担当の先生とかいるのかい?」
「いいえ。私は色んな仕事してますから。」
「ひとりぐらし?」
「いいえ。太宰先生と中原中也さんの家に住み込みで家事をやっています」
「····今··なんて?」