3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第3章 昼休憩
どこから現れたのかはわからない。突然現れたのだ。音も立てず気配も纏わず。まさか喧嘩をしてると聞いて仲裁に来てくれたのだろうか。いやまさかそんな。だってあの大人しい冨岡くんだ。そんな役を買って出るような子ではない。
「………てめえ冨岡ァ」
忌々しそうにバッと手を振り払う不死川くん。
だが、冨岡くんは全く気にすることなく自分の持っている袋をガソゴソとあさって何かを取り出した。
そしてそれは不死川くんの前にスッと差し出される。
「落ち着け。ここにおはぎがある」
「…………………」
「?不死川はおはぎが好きなんだろう?」
「…………………」
おは、ぎ…………?
「……ブッ!」
その時、誰かが吹き出した。煉獄くんだ。
「っくく、笑うな煉獄。移んだろうが……くそ、腹痛ぇ」
「………す、すまないっ、だがしかしっ、それはお前も同じだろう宇髄……か、肩が震えているぞっ…!」
「うっせ、これはあれだっ……寒ぃんだよっ!」
「今は5月だぞっ…ぶふっ」
余程この拍子抜けした空気感が堪えたのか、腕組みをしている煉獄くんとポケットに手を突っ込んでいる宇髄くんが共に顔を俯かせ肩を震わせている。
「………………」
「………………」
妓夫太郎くんと継国くんはというと、呆気に取られてぽかんとしている。二人の様子を例えるならあれだ。
え?お前おはぎ好きなの?おはぎってあれだよね?あの甘いお菓子のことだよね?え?おっかない顔しておはぎが好きなんだ?なにそれなんか可愛くね?だ。