so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
物音一つしない兵舎をリヴァイとジゼルが並んで歩く。小柄なリヴァイだがそれよりも遥かに小柄なジゼルはリヴァイの少し後ろを歩きながら頬を緩ませた。
「ふふ。」
「なにがおかしい。」
「もう少しで新型立体機動装置が完成するから、とても嬉しくて。みんなどんな反応してくれるか早くみたいな…。」
「ガキ共は嬉しがるだろうな。」
「だといいんですけど。」
緩む頬を抑えないジゼルにリヴァイはふ、と鼻で笑う。彼女の長い金髪がしなやかに揺れ、金色の大きな瞳が嬉しそうに細められる。リヴァイはどこか心地良さを感じていた。地下街での生き方がそうさせたのか人前では仮眠すらも取らないリヴァイがジゼルの目の前では赤子の如く容易く眠った。そんな事実にリヴァイは三白眼を細め隣に歩くジゼルを見下ろす。
「お前が倒れたら新型立体機動装置の意味もねえが。」
「……それは、すみません。」
「作業をやめろとは言わねえ。だが、自分を酷使するな。壁外調査までまだまだ時間がある。休める時にしっかり休んでおかねえと直ぐにガタがくる。」
「はい。」
リヴァイはジゼルの気持ちを尊重し作業をやめろ、とは言わなかった。そんなリヴァイの気持ちを読み取ったジゼルはその気持ちが歯痒くてにっこりと微笑みながら小さく頷く。やがてジゼルの部屋の前まで辿り着いたリヴァイとジゼルは足を止める。ジゼルの部屋の隣はリヴァイなのだから送るもくそもなかったんだが、とジゼルの部屋の扉を見詰めながらそう思っていればひょっこり前に出たジゼルがリヴァイの顔を覗き込む。
「リヴァイ兵士長、部屋まで送ってくださりありがとうございました。」
「……全くだ。」
「ふふ。では、おやすみなさい。」
「ああ。しっかり寝ろ。」
リヴァイは背の低いジゼルの頭をクシャり、と撫でるとジゼルから背中を向けた。ジゼルは撫でられた頭を抑えながら頬を緩ませた。僅かに紅潮させた。当の本人は暑いなあ、と手で顔を仰ぐ。今が暗闇でよかったと心の底から思ったジゼルは隣の部屋の扉がカチャリ、と開く音を聞き届け部屋の中へと足を踏み入れた。
夜でも朝でもなく夢の続きでもなければ確かな現実でもない、そんな神秘的な時間をリヴァイと過ごせた事に心を弾ませたジゼルは手ぐしで金髪を解くと疲れを放り投げるかのようにベッドに勢いよくダイブしてゆっくりと瞼を閉じたのだった。