so ist es immer【Levi dream】
第1章 in the light of the earth
容赦なく鋭い冷たさを運んできた風があたしの頬を撫でる。決して暖かくはいこの空間にはもう慣れた、と言ってしまい気持ちはあるもののまだまだこの寒さと誰もいないこの空間に慣れる気配は全くなさそうで。
少しだけ顔をあげればその異様な空間に一瞬だけ息を止める。全てが白く覆われているこの空間、窓も何も無いところから見るとここはどこかの地下なのだろうか。日光なんていつから拝めていないのだろうか、と使い物にならない頭で考えた。
生活要素も一切ないこの空間はあたしが幼い頃両親から与えられ物。唯一両親から与えられたこの空間にあたしは監禁とも言える生活を虐げられた。幼かったあたしはこれからの生活に胸を高鳴らせていたが今、十八を迎えた今日。
この生活は異常なのだと気付かれた。
両親は幼い頃からもう会ってはいない。この空間からは3歳の時から出ていない。最初、ここには両親も住んでいたがあたしがある程度家事など出来るようになったと同時に両親は姿を見せなくなった。食料は週に一回名前も知らない誰かが運んでくれるけれどあたしが何かを話しかけようとすれば皆避けるようにしてこの場から逃げていく。
そんな、異常な毎日。日常。
長い長い、無駄に長い真っ白な廊下の奥先にただただ誰かを待つわけでもなく座っているあたしは一体いつまでこうして息をしていかないといけないのだろう。こんな退屈で窮屈で息の詰まる生活から抜け出したいと願う毎日なのに生きる術を知らないあたしは無駄な時間とともに溜息を吐き出した。
ピカピカに磨きあげられた真っ白な壁に視線を移せば、腰下まである金髪の絹糸のような髪がさらり、と揺れる。その中に光る正気を失った様な髪同様の金色の瞳は誰かを睨んでいるようにも見えた。……あたしは、如何して此処に居るんだろう。何をして、誰を、待っているのだろう。
この生活を虐げた両親に是非とも会ってみたいが生憎誰もあたしの話し相手にはなってはくれず無情にも時間は刻々と過ぎていくばかりで、今日何度目かも分からない溜め息が出る。
「もう、こんな生活は嫌…」
と弱音を吐くもその言葉を拾ってくれる人は居なくて。救いようの無い言葉がこの異様な空間に響き渡り、頬を一筋の涙が通り過ぎる。
どうか、誰か、誰でもいいから。
この生活からあたしを。
____救って。