第3章 Sakurai.
そして現在、
いつもなら着信履歴には
翔くんの名前でいっぱいのはずなのに。
『ふっふふ、やっほー』
「なんですか。
面白がって掛けてこないでください」
喧嘩している、
という状況が面白いのか
二宮くんが電話を頻繁に掛けてきやがります
酔っぱらいか?
酔ったら電話を掛けちゃう奴ですか?
『まーだ仲直りしてないんですかぁ?
翔さんね、すんごいブルーで仕事なんない』
「そ、それは翔くんの問題でしょ....;」
仕事にプライベートを持ち込むなんて。
私の責任じゃない!! ...と思う。
でもね、
と二宮くんが続ける。
『どっちが悪いとか関係なく、
仲直りしとかないとさ。
これから先、やってけないと思いますけどね?』
「は、あ....」
いい言葉なのに、
二宮くんが言うからなんかイラッとする
『別れたら私が貰ってやりま...ちょ、ちょっ!』
ガシャガシャンという雑音が聞こえたあと、
声の主が変わった。
それはそれはかなり不機嫌で。
出なきゃいいものを、なぜ出たのか。
『あんさあ!!』
いきなり喧嘩腰で発してきた、
その声の主は翔くん。