第6章 Ohno.
アトリエ(と言っても使わなくなったお店の一部を借りてるだけ)に呼び出され、行くと
そこには顔に絵の具が付き、服は
ヨレヨレに汚れた姿の智が笑顔で手招きしてた
「今日、仕事じゃなかったっけ」
美術の先生をしつつ、絵描きを目指す智は
確か今日は先生の仕事があったはず
なのに、ここで何やってんの?
「そこそこ、座って」
と目の前の如何にも絵のモデルさんが
座るような位置の椅子を指す。
またジッとしてなくちゃいけない時間が
来てしまうのか…。
「…やるの?」
「今日はね、完璧に仕上げる!」
やるのね。
やる気満々の智に、
渋々、荷物を置いて椅子に座った。
「なんかしてて」
「え?ジッとしなくていいの?」
「いいよ。いいと思ったの描くし」
普通はジッとしてもらうものだけど、
今日はなんだか違うみたい。
とりあえず近くにあった日記帳みたいなのを
手に取り読んでみることに。