第6章 Ohno.
「それに。
違う意味も考えられますけどね」
「…え?」
知らない。
君が気づくまで、
私は何もしてなんかやらない。
苛立ちさえ感じているいまの自分に、
彼女は後ろから「何が!?」と
ずーっと叫んでいた。
消えない想いこそ、
今の気持ちを表していて
局内を駆け回っても見当たらない愛里の姿
ガチャ。
ニノが戻って来たことで
なんとなく空気が変わった気がした。
「トイレが混んでて漏れそうだったー」
ニノがドカッと椅子に座る。
そして俺にチラッと視線を向けると
「まだ見つけきれていないんすか」
つー、と伝う汗。
見つけたのかな、
と察した俺は再び楽屋を飛び出した。