第6章 Ohno.
『死なないでお父さんっ!!』
『…これからは……
幸せに…生きろっ…』
『お父さんっっ!!』
「なんつう、ドラマ見てんだよ」
パシッ、と頭を叩かれ
振り向けば釣りの帰りのお父さん。
釣竿が妙に似合うアイドルって
そう居ないと思う。
「お父さんが殺されるお話ーっ!」
「満面の笑みで言うことじゃないっての」
最近、私にはお父さんが出来た。
若くてカッコ良くて優しくて、
だけどいつも毒舌で厳しくて素っ気ない。
そんで人気者アイドルのお父さん。
私はそんなお父さんが大嫌いだった。
「ねーえ、お父さんっ!!」
「お父さんじゃねえし」
ずーっと前、お父さんは
一人ぼっちの可哀想なアイドルだった。
いつも家に閉じこもって、
暇さえありゃ寝て食って釣る。
そんなあたかもニートみたいな
生活を繰り返していた。
「じゃあパ「パパでもねえよ」
私のお父さんは、
私の事が大嫌いな、そんな
歪な形をした親子関係
これはそんな歪な形をした親子関係の
一つの短い短いお話。