第6章 Ohno.
「2人きり、ちょっと照れくさいね」
大野くんはフワッと笑い、
へへへと頬を赤く染める。
照れくさい、なんて。
大野くんが思っていたの?
そんな、まさか。
「このまま時間が止まっちゃえば良いのにな。
そしたら俺、
このまま愛里ちゃんに
好きっつって抱きしめたりできんのにね」
「...お、おのくっ....それっ...」
「....ふふ。もう今さらかな、気づくのおせェよな」
必死に首を横に振り、
私はそんなことないと表す。
私はこのまま時間、止まってなんか欲しくない
大野くんと居ることが、
誰よりも長くて当たり前になればいいなんて。
2人きりの美術室で、
大野くんに抱きしめられながら。
「好きだよ大野くん。 」
そう願ってしまうんだ。