第6章 Ohno.
窓越しの出会いに、
俺は風で靡くカーテンを見ながら思い出す
真っ白な肌、茶色の髪
優しく笑うあの笑みに、俺は引き寄せられ。
いくつもの道を歩いてやって来ては、
俺は君に話しかけた。
「こんにちは」
手を伸ばせば届くはずなのに、
君は敢えて届かぬ距離に立っていた。
苦しくなんかない
ただ、
「智くん、また来てくれたの」
日に日に辛くなる君の姿を、
俺はどれだけ抱きしめたろう。
酸素マスク、
それが唯一の君の命をつなぐモノだった
「...そろ....そ...ろ....
話せ....な...くな....る...」
頼むよ。
神様なんてもの、居ないかもしんねぇけど
俺さ。
やっと見つけたんだよ
生きなきゃなんねぇって、
そう思える人がよ
ダメかな、こんなの。
こんな時ばっか神様に頼むなんて。
俺って卑怯かな....