第3章 Sakurai.
好きな人にはとてつもなく会いたい!
というより翔くんに会いに来たんだよ?
本人に会わないでどーするよ私!!!
「あー翔ちゃんはねぇ...」
とみんな何故か知らんふりで
会わせてくれようとはしない。
邪魔だとかほざいた二宮くんは
楽屋に行く方向の通路を塞いだ。
...塞いだ!?
「退いてよ!!!
翔くんに会いたいよ!!」
「お前、それファンだよな完全に。
帰れっての、まーじーで」
と通してはくれない二宮くん。
実は皆に話してなかったけど、
会えるの今日だけなんだ。
明日にはアメリカに行かなきゃ
いけなくなったんだ。
「....通せバカアイドル!!!」
ちゃんと会って、
翔くんだけにはアメリカに行くこと
伝えるって決めたんだ。
付き合うことは無理だから。
せめて、お別れだけでも言わなくちゃ
「しょ、翔ちゃん帰った」
「.......えー、帰ったの?
最初に言ってよ~!!!」
智が気まずそうに言った。
帰ったのか、仕方ないよね。
午後がせっかくのオフだとしたら、
私なんかのために留まるわけない
「翔くんに会えないならかーえろ」
....やだな、会いたかったよ翔くん。
アメリカなんて、
思ったより遠いんだからね...。