第1章 ◆夢 碓氷真澄
「………」
そ…っと、音を立てないようにドアを開ける。
目的の相手は部屋の窓際にあるベットで気持ちよさそうに寝ていた。
その姿に、先程の光景はやはり夢だったんだと安心できた。
ベットの傍に行き、キシリ、と軋ませて、隣に浅く腰掛ける。
深く眠りに入っているようで、愛しい相手は全く目を覚ます様子をみせない。
その寝顔が余りに可愛くて、柔らかな頬に手を伸ばす。
「んぅ………?……ますみくん…?」
「………」
「……どうしたの、こんな夜中に………ふぁ」
大きくあくびをしながら起き上がる。
朝ごはんや俺達の弁当の準備、朝稽古もあるため、この人の朝がとても早いのは知っている。
そして夜も遅くまで起きて、稽古が終わった後に次の上演に向けての対策を練る。
俺らが、のびのびと芝居が出来るように、この人がどれだけ頑張っているか、1番知っている。
だからこそ、負担になるような事はしたくなかった。
「………」
「…なぁに?黙ってても分かんないよ」
「……夢を、見た」
「どんな夢?」
「……アンタが、他の奴と…………ヤってる夢を、見て…」
「………やる……ヤる…!!?
ヤるって…つまり、そういう……?」
「……俺もまだヤってないのに…」
「そりゃあ未成年だからね!?」
その言葉に不満を覚える。
俺はこの人となら、いつでもしたいのに。
告白して、いいよっていう返事に続けて、高校卒業するまでは、そういう行為は一切しないと約束させられた。
別に、監督のカラダが目的な訳ではなかったし、いいけど。
……子供扱いをされたみたいで、不服だ。