第6章 ⑥新門紅丸 夫婦ネタ
『紅丸さん、起きて下さい』
襖を開けて、声をかけるが全く目覚める気配がない。
『早くしないと、若い衆に食べられちゃいますよ』
お布団の側に腰を下ろして、声をかけてみた。
『…そうですか。では、私は先にいただきますね』
腰をあげようとしたら、手首を引っ張られて中に引きずり込まれてしまった。
「…今日は、玉子焼きだな」
『もう、いつも起きてるのに』
「朝からにゆっくり触れるのは、この時間しかねェからな」
あぁ、私の旦那さまはいつも私に甘い。最強の旦那さまは、いつも町の人達に慕われている。第二世代の能力しかない私に、生きる理由をくれた人。
「のメシが美味いのは知ってる。詰所の世話だけでも大変なのに、毎日ありがとな」
『私に出来る事をしてるだけです。こちらこそ、いつも私を大事にして下さって、ありがとうございます』
二人で額をくっつけて笑った。
(おかみさん)
(しー)
(あっ、いつものですか?)
(あぁ、二人とも仲が良いのはいいが…が起きてくれねェのには困りもんだ)