第1章 ①新門紅丸 ※20巻ネタバレ注意
スタスタスタ…
私は、今スゴく怒っている。しかし、それは私の勝手な嫉妬だ。環と鬼ごっこが終わり帰ってきたヒカヒナ。
私に近寄って来るやいなや。
「「紅が、猫女の胸見たんだせ、!」」
『…………は?』
よくよく聞けば、いつもの環のラッキーすけべられだ。しかし、しかしだ。
紅、見たんだ。
怒ってない。もう怒ってない。さっきは怒ってたけど…
紅より、一つ年上である私がそんなことで怒ってはいけない。
若い子、羨ましいな。お肌ピチピチ。胸の大きさ的には、私の方があるけど。私も、昔はあんなだったのかなぁ。
ってか、いつの間にかこんなに大きくなったよね。
あの子達くらいの時は、もっと小さかったのに…
ん?
紅と付き合ってから?
『…っ』
そう考えたら、一気に顔に熱が集まったのがわかった。
「…おい、何突っ立ってんだ」
『お、お帰りなさい』
タイミングが悪すぎる!後ろから来たから、まだ顔は見られてない。よし!
大丈夫。大丈夫なはず。
「何で、こっち向かねぇんだよ」
『…ね、熱があるのかな?』
「…は?」
一瞬で私の前に来て、両頬に手を添えられ紅と目が合った。
その一瞬で、私は再び耳まで真っ赤にしてしまった。
「…熱じゃねぇな」
ギクッ
「大方、ヒカヒナにさっきの事聞いたんだろ」
何故わかるんだ。
『そ、そうですよ。お、おお怒ってるんですからね』
ふーん、なんて紅の声が聞こえたけど、絶対面白がってる。
「じゃ、なんでそんなに物欲しそうな面(つら)してんだ」
『ししししてない!』
してないもん。そんな顔。
今度は、顎に手を当てられたかと思ったら紅に口付けの直前に
「俺は、その顔好きだぜ」
その言葉を言い終わる前かもしれない。
今度こそ、私の唇は奪われた。
(ちょ、こ…こ…っ…ろう、か)
(…俺の部屋に行くぞ)
(新門大隊長〜絶対俺ら忘れてますよね)
後、機嫌の良い紅丸によって二人の火事場の馬鹿力の稽古が再開されたのであった。