第2章 絡まった糸は柔らかな手で解けばきっと
いくつかの夜を小乃実ちゃんと過ごし、
俺の心の中はいつも温かな色で満たされていた。
高価な贈り物も見返りも、何も欲しがらずにただ俺と会う事自体を望んでくれる人がいる。
こんな俺を、俺に会う事をこんなに楽しみにしてくれる人なんか初めてだ。
少しずつではあったけど、小乃実ちゃんが僅かに微笑む事が増えて来た。
それが嬉しくて、もっと見ていたくて俺は彼女を笑わせようとする。
そんな自分が在ったなんて、正直俺も気づかなかった。
初めて会った時に、勢いで求婚までしちゃったけど、今は小乃実ちゃんの困る顔は見たくないから言葉には出さない。
だけどもしも小乃実ちゃんと結婚出来るなら・・・
なんて、眠る前に甘い想像をしてしまう。
昨夜の俺に伝えられるなら伝えたい。
やっぱり俺は弱い存在だったって事。