第1章 始まりは突然…
「ぐわあぁぁぁぁぁぁ!!」
水色の鱗で覆われた皮膚を持つ、魚人の様な男が、唸り声を上げながら倒れ、解ける様にシュワシュワと消えていった
「……ふぅ、ようやく片付いたか」
そうこぼした少女は、桃色の衣装を見に纏っていた
お腹が見えそうな丈の短い服、それの胸元にはリボンが施されていた
フリルのついたスカートをはき、手にはステッキが握られていた
衣装と同じ桃色の髪を2つに括ってある
彼女は、“魔法少女”だ
この世界を征服しようと企む“妖魔”と戦う少女達のうちの1人だ
彼女、「青桐風華」は、一度深く息を吸い吐き出すと、光の粒子に包まれ、その変身を解いた
「最近は妖魔の動きも激しいわね、おかげでこっちは疲れも取れずにくたくたよ」
「では、その疲れが溜まる原因を取り除いてやろう」
風華は1人静かに愚痴をこぼしていた、1人静かに、そう思っていたのは彼女だけなのか
風華の背後から、先程の愚痴に答えるかの様に言葉かかけられた
「⁈だ、誰⁈(しまった、変身を見られた⁈)」
風華は焦りつつもすぐさま後ろを振り返ると、そこには黒いローブで身を隠した人が立っていた
体型と声から察するに、男であろう
しかし、彼は人間ではないだろう
人間は黒いオーラなど発しはしないからだ
「…あなた、妖魔⁈」
「いかにも、俺は妖魔だ、先程の戦いぶり、見事だったな、魔法少女よ」
「あら、敵に褒められるとは思っていなかったわ、ありがとう、あなたもさっきのやつと同じ様に、私に倒されたいの?」
風華はそういうと、変身コンパクトを構えた
「フッ、俺が知らぬと思ったか?お前たち魔法少女は、一度変身を解いてしまったら、再度変身するまでに3時間かかってしまうことを、お前はこの俺を3時間も戦わずに気を引き時間を稼ぐことができるというのか?」
(そこまで知られているの⁈)
この男の言う通り、魔法少女は一度変身を解くと次の変身に3時間有してしまうのだ
それを知られた以上、3時間も時間を稼ぐことを、男が許すはずないであろう
「……何が目的なの?」
「言っただろ?お前の疲れが溜まってしまうその原因を取り除いてやると」
「私をころすつもり?」
「さあ、どうだかな、それはお前次第だ」