第3章 君を愛しているかららしい
「あんにゃろー!ざけんじゃ…ねぇ……ぜっ!」
「あら?助けに来たけど、必要なかっ「ばっか……!ふせろ!」…え?」
窓から飛び降り見ると、自力でロープを切った快斗が焦ってこちらに走ってくる。
状況が掴めず呆けていると、快斗が私に覆いかぶさって倒れた瞬間、爆発が起きた。
少しの間、快斗に頭をギュッと抱えられる。
周囲が落ち着き、快斗が体を起こしかけて止まったことに疑問を感じ見上げると、至近距離で碧い瞳と視線が合い、思わず顔を逸らした。
「なんでオメーがここにいるんだよ?シャノワール」
「キッドの様子がおかしかったから後をつけたのよ」
「あぁ、オメーいつもいるもんな」
「あら、気づいてたのね?」
「んで?オメーの目的はなんだ?」
覆いかぶさったまま詰め寄ってくる快斗。
いたたまれなくなって無言で快斗の胸元を押すと、あ、わりぃと言って上体を起こす。
うまく酸素を取り込めていなかったらしい肺に一呼吸して酸素を送り込み起き上がろうとすると、腕を掴んで引き起こされた。
胡座をかき、その膝に腕を乗せ頬杖をついてこちらをじぃっと見てくるその顔には、オメーの目的はなんだ?の答えを早く言えと書かれてある。
その視線を無視し、爆発から庇ってくれたことにお礼を言い立ち上がる。
「今日もあなたに代わって盗みを働くつもりみたいだけど。さっさと戻った方がいいんじゃない?」
好き放題してるわよ?というと苦虫を噛み潰したような顔をしながら立ち上がった快斗に、特別に送ってあげる、と言い数歩足を進めるも、後ろから着いてきている気配がなく。
振り返るとポカンとしてこちらを見ている快斗。
「歩いて帰る気?かなーり遠いけど」
そう言って快斗を置いてさらに歩き出すと、今度は後を着いてきた。
停めておいたバイクに跨り、乗って、とヘルメットを渡す。
快斗が後ろに乗ったことを確認し、しっかり捕まってなさいよ、とバイクのエンジンをかけた。