第9章 君の匂い HQ 日向翔陽
「先輩っ!」
「あっ、おい日向!」
止めようとする澤村をすり抜けて日向はの元へと駆け出した
その声に気がついて振り向いたは日向を目に捉えると僅かに笑った
「日向くん、今から部活?」
「うん、先輩はゴミ捨て?」
「そう 今日は当番だったから」
仲良さそうに話す姿にその光景を目の当たりにした部員達は混乱していた
いや、それよりも…笑った
「…笑った顔、可愛い…」
ボソッと呟かれた田中の声にハッと、意識を取り戻す
「だ…大地、どういう事だよ 今笑ったべ?」
「お…俺も何がなんだか そもそも知り合いだったことに驚いたよ」
コソコソと聞こえない程度にザワつく部員達そっちのけで話し込む二人をじっと見ていた
「俺も一緒に持っていくよ、そこだし」
「いらない、そもそも焼却炉近いんだから一人で大丈夫」
相変わらずの物言いに日向はそんな事お構いなしにが持っていたゴミ箱を奪い取る
「そんな事言って、本当は嬉しいくせに」
「最近日向くんは強気よね」
「でも先輩は怒らないでしょう?」
ふふんというように笑う日向には「もう勉強みない」と言うとスタスタと日向を見ずに先を歩く姿に日向は「あっ、それは嫌です やめてください」
とセンパ~イと騒ぎながらゴミ箱を持って歩いていく二人に残された部員は呆気に取られていた
「何だろう…色々聞きたいことはあったけど」
「笑ってたな、初めて見たよ」
「うぉぉぉ!黙ってると綺麗で笑うと可愛いなんて卑怯だぁぁぁ!」
そう言いながら騒ぎ出す田中達に月島はあきれたように呟いた
「田中センパイ騒ぎすぎデショ」
「まぁまぁツッキー、でも噂が本当なら笑わせた日向は凄いね」
「別に、日向のバカっぽい笑顔にその先輩が負けただけデショ」
慌てる様になだめる山口に興味なさそうにくるっと向きを変えるとスタスタと体育館の方へ歩き出した
「あっ!待ってよツッキー」
「ほら、俺らも行くぞ 部活に遅れる」
先に向かう後輩にいまだに悔しがってる西谷と田中をズルズルと澤村は引きずった
「でも大地さん、日向が」
ズルズルと引きずられながら口にする田中に
「大丈夫、アイツなら遅れたら今日はずっと玉拾いだ」